「港 風 景」

 

港風景
新井 豊一 さん(氷見市)

 最優秀賞に輝いた新井豊一さんの「港風景」は、審査委員が一推しした作品である。

 伏木港に停泊したフェリーとそれに横付けされた長距離トラックを背景に、社会科見学だろうか児童の隊列のリズム感を巧みに配したものである。トラックに気をとられ隊列に間ができたところに上手くトラックが顔を出している。作者の流れを読み取るタイミングや画面処理の上手さに脱帽したものである。何より、足を止めてしまう子供に後ろの級友が促す面白さが醸し出されている。子供達の眼にはトラックの姿がどの様に映ったのか...。
 児童達の将来性と陸と海の輸送モードをリンクさせたモーダルシフトの観点でも次代を見据えた作品で、作者の努力として最優秀賞受賞は決して偶然のものではないと評価する。

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 「洗 車 中」

 

洗車中

村上 久信 さん(中新川郡上市町)

 優秀賞の村上久信さんの「洗車中」は、ダイナミックなフレーミングで構成した点で真っ向から被写体に接している作者の意気込みが十分感じられる。

 応募された作品には傍観者的で表現に乏しいものが多く見受けられたものの、同氏の作品は一際目立つ存在であった。村上さんは、同様に他に3枚の作品を応募しているが、どれも力作ばかりで審査委員の頭を悩ませたほどである。しかし、視点に捻りを加えた作品よりストレートに表現することが作者本来の良さであると認識している。トラックは輸送そのものの役割に加え、企業の走る広告塔としての要素を忘れてはならない。運転者は自ら担当する車両に責任を持つ一方、我が子のようにトラックへの愛着とねぎらいの姿が十分感じられた作品である。
 颯爽と走るトラックの姿が表の部分であるなら、仕事を終えたトラックの拠り所を捕らえた影の部分もトラックの一面として表現した作者の視点を評価する。

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 「ビル街の配送」

 

若林  繁 さん(婦負郡婦中町)


 同じく優秀賞の若林繁さんの「ビル街の配送」は、市内のインテリジェントビルに到着した宅配便を捕らえたものである。

 颯爽と降り立った運転者をタイミング良く捕らえ、手前に噴水を取り込んだ画面構成は水流の面白さと相俟って完成度の高いものとなった。地面のタイル、そしてビルの線を平行に保ったフレーミングにより一層、都市内物流の正確性が強調されるものになった。
ビル街の配送

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 「早朝の出勤」

 

早朝の出勤
 
村沢 京子 さん(富山市)

 (社)富山県トラック協会長賞の村沢京子さんの「早朝の出勤」は、朝焼けを背景にヤードに並んだトレーラをシルエットにしたもので、保安帽を被った運転者が乗務しようとする風景を押さえた。

 トラックはシャドウで潰れてはいるものの、車両側面が朝日を浴びて輝いているのが計時変化の中で臨場感を醸し出している。現場の納入時間に併せて、時には夜も明けきらない時間に出発することもあり、とりわけ重量物輸送の輸送プロセスを象徴させる裏付けを作者は独自の感性で処理している。欲を言えば、ラチチユードの狭いポジフィルムを使用しているせいか、結果としてハイライトに露出が引っ張られてしまったことが成功したものだが、もう少しシャドウ部に露出をかけてトラックのフォルムを出してもよかったのではないか。いつもより早く起きてカメラを向けると時間の経過の中で普段見えないものが見えて来るものである。

 村沢さんは今回ご夫婦で応募されており、ご主人も佳作に入選していることでも、写真に対する熱意が十分伝わるもので、努力の結果として評価できる作品である。

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 「おっと、大切に!」

 

おっと、大切に

片山 五三六 さん(東砺波郡福野町)

 北日本新聞社賞の片山五三六さんの「おっと、大切に!」は、歴史的建造物が寄せ会う井波の町を舞台に、宅配便業者の配送風景を捕らえたもので、輸送における迅速かつ丁寧そして確実に荷物を届けるという使命を見事に表現した作品である。
 
とりわけ物流の中でもより身近な輸送として捕らえやすいためか、今回の応募作品の中で宅配便を狙った作品のウェイトが高かったのも事実で、その中で、片山さんの作品は質の高さもさることながら、親しみやすい輸送の在り方を明確化したものであった。左のトラックも入れたいという欲も理解できるが、折角ロケーションの良い歴史ある町並みでのショットなのだから、もう少しカメラを振るなどして、佇まいの情景も見せて地域特性を垣間見ることができる面面処理がほしかった。

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 「間もなく出発」

 

間もなく出発

加納 豊作 さん(氷見市)


 新規道路の建設が進む開発地区で、荷役を待つトラックの隊列を捕らえたもの。
 
 自分の親しんだ原風景が、インフラストラクチャーの整備で変貌していく姿が捕らえられ、公共工事においても欠かすことのできない“みどりナンバー”ダンプトラックの活躍振りが表現された。画面処理の点でカメラを下に振り、雑草までもストレートに見せてほしかった。

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 「歩行者優先」

 

川友 貴暢 さん(富山市)


 総曲輪通りのアーケードをすり抜けて行く宅配便を捕らえたものである。本来、公道を走るべくトラックのイメージとは裏腹に異空間を行く光景のギャップが面白い。

 手前の親子は全く撮られた意識はなく、中央のOLは意識しているものの無表情、そして後ろ姿の店員とアーケードを取り巻く看板や横断幕など情報量の多さに飽きのない作品となり、その場所だけ時間が止まってしまった錯覚さえ感じ、集配車が多少ブレていることが幸いにも静脈的な物流のフットワークさを表現させる作品になった。

歩行者優先

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 「朝日に向かって」

 

朝日に向かって

村沢 兼二 さん(富山市)


 市内の幹線道を行くローリー車を後方から追ったもので、少し長めのレンズで処理し車両のフォルムをデフォルメさせている。

 協会長賞に入選した奥さんと、ちょっと早起きして早朝の風景を狙っている。普段は交通量の多いこの道も、この時間帯では歩行者も対向車も居ない時間帯を敢えて狙うことで、洗練された画面構成に次代に向かうトラック輸送を象徴させる作品となった。

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 「社会に貢献」

 

朝日 俊弘 さん(富山市)


 防災の日に併せた緊急物資輸送訓練の車両群を捕らえたものだ。

 災害時、いざと言う時に“みどりナンバー”トラックの役割が社会に貢献できる力を発揮する。先の阪神淡路大震災でも真っ先に緊急物資を運んだのが“みどりナンバー”トラックである。日頃の訓練の大切さと社会と共生している真の姿を認識できるものである。訓練の始まりか終わりか定かではないが、流動感がないために単調な画面で終わってしまったのが残念だ。
 本番さながらの訓練の中には、乗務員とのやり取りや、物資の荷降ろしなど緊迫した見せ場がある。緊急輸送のプロセスを追いかけて行く中で、取り巻くクルーたちの表情を捕らえていくのも、もう一つの手段である。

社会に貢献 

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 「汗みどろの点検」

 

汗みどろの点検 西島 敏浩 さん(富山市)


 ドライバーコンテストでの競技を捕らえたものである。業界団体として、日頃から点検等の整備の質を競いプロのドライバーとしての資質向上を狙いとしている大会だ。

 競技状況、そして競技者の真剣さも分かるものの、タイトルからした「汗みどろ」というキーワードが伝わって来ないのは何故か?作者自身、現場状況を忠実に記録するということに意識が偏ってしまった一方、主人公であるはずの競技者の立場ではなく、もう一人の試験官の視点で見ているのである。従って、結果として写真は冷静で背景にある本当の汗は競技者本人の立場に立ち返った時、必ず表れて来るものと確信する。

 

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