「 白鳥と共に走る 」   松永正昭さん(富山市)

 

 

白鳥と共に走る


 残雪の峰々を背景に大型トラックと白鳥が併走する光景に審査委員が一同に、「凄いね」と釘付けになったのが松永さんの作品であった。

 白鳥の飛来地として市内野中エリアで捕らえた作品は過去にも多く寄せられており、どれもトラックと白鳥とのコラボレーションの作品は静態であっても、このような躍動感は得られていない。この作品そのものが、他の作品を寄せ付けないパワーがあり、一同が一推しした力作であった。そもそも、この地が飛来地と認識されてはいるものの、広大で何処にポイントを置いて狙えば良いのか定まらない難しさがある。むしろ相手が動物となれば尚更のことで、良く捕らえたと感心する。

 白鳥の躍動感も申し分ないし、見事に車両と旨く調和している。曇り空と残雪が何処となく冷えきった空気感を醸し出し、お互いの旅立ちを分かち合っているように見える。この写真を捕らえた松永さんは、かなり写真に精通している方だと思う。


 一瞬の状況に的確に捕らえる行動力、被写体の観察力、作画構成の柔軟さなど、様々な要素を備えた方であろう。白鳥の流動感に捕らわれ過ぎて、トラックが止まっているように見えるが、定点撮影で偶然フレームに入ったとしても流れとして捕らえていれば前後の写真も見てみたいものだ。熱心に写真創作をして行く上で、チャンスが来ることがある。偶然も努力無くしては生まれないことと再認識し、テーマはどうであれ今後の撮影活動に活かして欲しい。

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 「 うわっ〜 おっきい かがみ〜!! 」

 

 

うわっ おっきい かがみ〜!!

宮島優美子さん(富山市) 

 ドライブの途中、偶然にもステンレス車体のローリー車の後についた。自分の車が鏡と化したタンクの前方に映り、逆の映像を創り出している。そんな異次元の相貌を着かず離れず走りながら楽しんでいる車内の賑わいが見えて来る。

 画題は息子さんの一声からタイトルを付けたに違いないし、フロントガラス越しに捕らえられた写真は、大きな鏡に映った自らの画と車内の情景が構成されて面白い。宮島さんは過去に最優秀賞を受賞された方で、大方のタイトルが子供の視線であること、言わばご自身も子供の視点で被写体を見据えることができる。

 とうして?、何故?、何?といった子供の素朴さを心の中に秘めて、素直にカメラが向けられるのは大切なことである。状況から察して後部座席から狙っていると思うが、垂直を保ったフレーミングの正確さと、シルエットになったバックミラー、ダッシュボード、マスコットが全体のコントラストを引き締める要素となった。日常の中に素材は幾らでもあるということを教えられたような気がした。

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 「 楽しいミニ列車 」

 

新井豊一さん(氷見市)

 澄み切った休日のイベント会場で一躍人気者はミニ列車。乗客すべてが幼児を抱き、同じ姿勢で試乗している姿が何とも滑稽である。一方で、このライブ鉄道模型が特急サンダーバードで地域性が伺え、ディテールも良く出来ているのに感心してしまう。

 背景にはウイングを開けたトラックが止まっていて、イベントとの関係を考えると見えて来た。トラックはこのミニ鉄道を運んで来たことに間違いない。そしてちょっと普通ではないことが分かる。このトラックこそ鉄道同様、牽引可能な車両で張り出したバンパーがその証し。作者はこのトラックと鉄道の共通点を知っていたなら大したものである。

 もう一つ疑問があり、良くライブ模型の搬出入は各自が持ち寄るか、トラックならレンタカーを使用するのが通常だろうが、トラックは正に事業用トラックなのである。恐らくこの活動は同社の複利厚生の一環で、各地で社会奉仕をしているのであろう。後ろに見え隠れした3人はスタッフで、楽しむお客を眺めている表情は満足そのもの。新井さんは、人とトラックとの関わりを実に旨く表現していて、写真の持つ背景を読ませることのできる方である。

楽しいミニ列車

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 「 白い花街道を行く 」

 

 
白い花街道を行く

藤井睦子さん(富山市)

 神通川河川敷は一面白い花畑と化し、春の訪れを伝えていた。花畑を懐としダンプトラックを先頭に乗用車が後を追う。ナズナなのか、何と言ってもこの花々が画面後方まで延々と続いていることが分かり見事なロケーションだ。

 フラワーロードを行く車両たちは、藤井さんの手に掛かると何処となく香りを嗅いで一休みしているように見えてくる。女性作家ならではのキメ細かな作画とメルヘンチックな相貌から、普段は力強いダンプトラックが優しいイメージに見えてしまうのも不思議である。季節を感じながらカメラ片手に河川敷を散歩していると、色々作画のヒントが見えて来る。そのチャンスを旨く捕らえた藤井さんの視点は正しい原風景の良さを表現したものである。

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 「 祭りの支援 」

 

 

松本哲男さん(富山市)

 歩行者天国と化したストリートは、今日ばかりは夏祭りムード一色となった。デコレートされたトラックが子供達を引率するかのようにゆっくり移動して行く。フロントガラスに写り込んだ人々の姿がその賑わいを物語っている。仮装トラックの華やかさはもとより街路樹と子供達の衣装のコントラストが絶妙にマッチしている。

 どうしても祭りとなると出演者に釘付けとなりがちだが、トラックをメインにダイナミックに切り取った。沿道ギリギリまで接近して作品にしようとする作者の意気込みも十分伝わりパンチの効いた作画を創り上げている。

 

祭りの支援 

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 「 工事現場 」

 

 

工事現場
藤井伸一さん(富山市)

 昨年も藤井さんは工事現場をテーマに作品を寄せてくれた一人である。今回の作品もロケーションは同じであると思うが、1年経つとその変貌ぶりが手に取るように見える。市街中心部を渡る富山大橋の架け替え工事であるが、背景には既存の橋と平行して新たな橋脚が出来つつあり、確かに工事は進んでいる。

 しかし、写真からは誰一人と写っていないのが不思議な映像を醸し出している。ダンプトラックには土砂が積載されているし、ショベルは確かに地中を掘っている。何か工事すべてがオートメーションを錯覚させる様相に輪をかけて、振り降りて来たバケットが施工中の資材を壊すかのように悪戯していた。インフラ整備のスクラップ&ビルドを連想させる作画に見る方を引き付ける要素も十分だ。

 1つのテーマを経時変化で見据えて行くことでの写真の記録性、そして変化に併せたトラックの関わりが見えて来る。

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 「 整備完了 出番です 」

 

此川勝海さん(黒部市)

 「これは模型ですかね」と審賓委員が言う。いやいや、立派な旅客列車ですよ。でも鉄道車両がトラックの荷台に乗りますかねえ〜?

 錯覚するのも無理はなく寸手前に駐車したマイカーと比較すればそのスケールは創造できるはずだ。ちょっとしたマイクロバスの大きさだろう、黒部峡谷鉄道の客車である。冬季は鉄道も暫く冬眠に入り、5月になると再び営業を開始する全国でも冬休みがある鉄道事業者はここだけ。それだけ過酷な自然環境を行く路線でもあり、単独路線ゆえに車両検査はトラックに乗せて搬出するのだ。積み付けも車輪に下駄を履かせ手歯止めして台車を固定し、さらに客車と荷台を固定する。少しでも客車が移動したら大事故に繋がる特殊輸送なのだ。

 ここはトラックは無くしてはならない輸送機能なのである。このような光景は何時でも見られるものではないし、搬出入口を把握していないと撮れない。同氏の特殊輸送に対する理解、峡谷に同化したトロッコが異空間を醸し出して不思議な世界を表現している。

 

整備完了 出番です

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 「 自然を感じて 」

 

 

自然を感じて
酒井与志宗さん(上市町)

 動物は計り知れない習性を持っていて、白鳥の群れは今年もこの地に飛来した。心地好い環境を求めて来る動物たちも少しの環境の変化にも敏感で、環境変化を動物に教えられることがある。

 澄み切った快晴の下で立山連邦を背景に佇む白鳥の群れ。後方にはその楽園を遠慮するかのようにパワーショベルを積載した大型トラックが写り込んでいる。青空と積雪のコントラストも申し分ないし、白鳥たちの休息を壊さないトラックのさりげなさも良い。

 酒井さんの環境に対する認識の高さ、そしてトラックの共生感が十分伺える作品である。

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 「 夕陽に急ぐ 」

 

長森芳兼さん(富山市)

 市内中島大橋を夕陽を背にトラックが渡って行く。家路を急ぐマイカーの群れを横目にトラックはもう一つの配送先を目指すかのような情景を表現した。

 長めのレンズを採用し遠近感を無くしたことで、交通ラッシュの車群と太陽がより強調され、メインのトラックも一際、安定感を出たことで急いでいる、というより安全走行のイメージの方が感じられる。色温度が上がったマゼンタの色調の中にフォグランプと車速灯が浮かび上がり、夏の夕暮れを旨く表現している。この場所で何台のトラックを見送ったであろう。沈む夕陽は以外と早くかなりの時間の制約がある。永森さんの正確さだろう、焦らず、戸惑わず無駄のないフレーミングから察する作品だ。

 

 夕陽に急ぐ

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 「 世界遺産を行く 」

 

世界遺産を行く 玉生康博さん(富山市)

 相倉合掌群をフィールド゛に宅配便のトラックが止まっている。忘れ掛けていた日本の原風景に洗練されたトラックが佇むとギャップの面白さがある。何百年の時を経た茅葺き家屋の質感と規則正しい畑の作物が要素となって、不思議な雰囲気を醸し出している。タイムスリップした空間に迷い込んだような、そしてジオラマを見ているような感じだ。

 どうしても世界遺産という大きな被写体を前に家屋全景も入れたい、トラックもとなりがちだが、ポイントを抑えて茅葺きを思い切ってカットするフレーミングで、よりトラックを引き立たせることができた。配達中で運転者の姿は何とか認められるものの、地域住民などの動きに眼を注ぐ余裕が欲しかった。

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