「 猛暑の中を 」   野村 英樹さん(魚津市)

 

 

 記録的な猛暑日が連続した今年の夏、猛暑を超えて酷暑というキーワードに綴られた日々であった。お盆を過ぎても暑さは治まらず、2010年の夏は忘れられない夏となった。
 作品はそれを象徴する猛暑の中を行くトラックを望遠でとらえたもので、ゆらゆらと路面に浮かんだ逃げ水にトラックがあぶり出されたようで、画面全体から暑かった夏の情景が十分伺える作品である。作者は長いレンズの特性を認識し遠近感を抑えることに併せ、右端に寄せたトラックと逃げ水、背景のローリー車を一層強調させる良好な結果となった。
 写真で逃げ水をとらえると、意外と見た目通りの情景に写すことが出来ないことが多々ある。立ち位置のスタンスや光線状態で変化してしまうし、レンズの焦点距離でも全く違う写真になってしまうものだ。
 作者はこの現場で何台のトラックを見送っていたのだろうか?画面構成の上手さもさる事ながら、2か所の逃げ水を上手く処理し、猛暑の中を撮影に挑んだ作者の気構えも伝わって来る。手前のトラックはトレーラーヘッドの単行で、詰まった車体のフォルムが何とも滑稽で、画面全体からは見所も多い。
 夏をテーマにした作品が多かった中で、一際目立つ存在であり、プリントもクリスタル仕上げにしたことで猛暑の空気感が良く表現されている。作者の綿密さが十分伝わった作品である。


 

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 「 エコ・安全ドライブも見守る 」

 

 

梶原  隆さん(富山市) 

 収穫を控えた田園に立つ案山子が行き交う車たちを見守る情景が面白い。真っ赤な法被、実った稲穂、中央の林、青空の色彩が素晴らしく、忘れ掛けていた正しい日本の原風景を感じさせる作品である。
 広めのレンズで少し下から煽ったフレーミングが一層、案山子を強調でき、ダンプトラックが画面を引き締めている。そのような遠近感が澄み切った夏の日の情景が表現出来ている一方、案山子とダンプトラックを締麗に入れようとするのが常であるが、さり気なく配したトラックと後を追う軽車両がアクセントになった。路側に佇んでいる案山子がやけに綺麗でまぷしいのは案山子のコンテストなのだろうか?
 応募された梶原さんの作品はいずれもパンチの利いたフレーミングの中に優しさが感じられる作品であり、最終選考で複数の作品が残っていたことでも質が高いものがあった。案山子に交通安全の襷でも掛ければ運転者への良いアピールになりそうである。


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 「停車 横断中 」

 

山蔵 昭徳さん(富山市)

 富山市街の平和通りで開通を控えた環状線の軌道にトラックが鎮座している。車幅とレールゲージが合っている妙な位置関係が楽しい。
 その前を横切る家族の光景が面白く、背景を凝らして見れば歩行者天国であることが分かる。トラックの背景にクレーンアーム写り込んでる所を見ると、イベントで要請された車両ではなく敷設資材を運んで来たものであろう。左の子供と乳児を抱えた母親の足の運びが同じで、リズムを刻んでいる絵柄から不思議な空間が醸し出されていた。山吹色のトラック、初夏の青空に市街地のロケーションがマッチしており、天気は良いがちょっと肌寒い感じが親と子の服装から垣間見れる。
 山蔵さんは他にも作品を寄せて頂いたが、同じ現場でも人物の入ったストリートスナップは何より面白い。


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 「 祭りの裏方 」

 

 

上田 邦男さん(富山市)

 庄川町の祭り会場に置かれた大型ウイング車。トラックは貨物を運ぶ本来の姿とは裏腹に良くイベント会場の要請でステージとして代用する姿を良く見掛ける。
 応募作品でもこのようなイベントで活躍するトラックの姿が寄せられて来るが、この写真を凝らして見ると、荷台の上に役員であろう人々が並んで電飾山車のパフォーマンスを観る特別観覧席のようである。一般観衆の賑わいと闇夜に浮き上がった山車が祭りの風情を醸し出し、跳ね上げた屋根の開き具合もトラックの力強さを感じ、トラックが地域社会と共生する姿も十分認識できる作品である。
 夜間撮影では、ややもすればストロボを焚いてしまいがちだが、上田さんは現場の雰囲気、光りと影の定常光をそのまま生かしたことが良い結果を招いた。


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 「 きょうも 」

 

 

山田 利郎さん(高岡市)

 

 水墨画を想わせるモノトーンの色調が凍て付く雪国の情景を益々感じさせる作品である。当たり前のように日常生活に配色されたものが排除された時のギャップは何とも美しいもので、一面白のキャンパスに佇んだ緑色の宅配車がアクセントになった。
 厳しい環境下でも確実に荷物を届ける行為、輸送の原点を忘れない社会的使命が作品とタイトルからも十分理解できる。タイヤリムに付着した雪が集配のプロセスを物語り、積雪の深さも分かる。まだ降り止まない雪が写り込んでおり、凍えながらも過酷な現場に挑んだ山田さんの情景が見えて来た。
 力作の陰には作者の努力と苦労が必ず見え隠れするものだ。

 


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 「 トラックの見張り番 」

 

 

畑 ひさのさん(高岡市)

 畑さんは昨年も市場をロケーションに作品を寄せてくれた。
 躍動的なテーマになりがちな男の現場とは裏腹に、競りが終わった一時を自然体でとらえたものである。中央の盥(たらい)には生物があり、それを猫と鷺が取り巻いているものの、保冷トラックが見張りをしていて手が出せない状況だ。置物と化した鷺が妙なフェイク感があり、トラック、猫、鷺の配列にも物語りを感じる作品である。
 柱を中央に配置することは画面が分割されることで避けることが多いが違和感はない。一つのテーマに拘って現場に通うと普段見えなかった情景に当たることがある。こうした偶然の情景をとらえたことは努力の賜物だし、写真とタイトルから作者の親近感とユニークさが感じられた。


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 「 目覚め 」

 

山崎  勝さん(富山市)

  立山連峰を背景に市街地、集落、高速道が上手く構成されて、田畑の雪化粧も早朝の雰囲気と空気感が表現され、一日が今始まろうとしている。稜線から垣間見る朝日が紫峰を一層強調させるとともに、交通量も未だ疎らな静寂の中に、時折響く走行音だけが聞こえて来るようだ。
 この場所は、山々と街並み、北陸道が僻廠で撮れる撮影名所であり、これまで募集作品にも多く寄せられている。早起きは三文の得と言うが、正に山崎さんの意気込みも感じられるし、これを機に季節と時間を問わず定点撮影することをお勧めしたい。
 早出したトラックが上下線に1台ずつ位置し、少しプレた手前のトラックの躍動感、共に一般車線を行く姿が輸送の安心感が感じられる作品である。


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 「 待機 」

 

 

山田 正昭さん(富山市)

 神通川の中洲に終結したダンプトラックの連隊。
 斜光に照らされた水面の輝きと規則正しく待機した車両たちの美しさがある。川向かいに林立するマンション、住宅群からは市街中心部であることも分かる。
 これだけトラックが並ぶ現場は大規模な公共工事ならではのもの。積載を待つトラックの相貌は、シチュエーションが分かる広めのフレーミングからジオラマのようにも見えて来る。
 決してインパクトのある作画ではないが、輸送の団結力と機動力が垣間見れる作品である。


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 「 飛鳥Uと共に 」

 

小川 圭二さん(富山市)

 

 高岡万葉埠頭に停留した飛鳥Uを背景に宅配車が岸壁に休んでいる。ドライパーの休憩場所になっているのであろう、これまでもこの埠頭で撮られた作品は多く、確実にトラックに会える絶好の場所なのかも知れない。
 画質も頗る良好で青空と白い船体のコントラストが絶妙で、よりトラックを引き立たせている。どうしても全体像をとらえた作品が多い中で、小川さんの作品は、船首とトラックを切り取り対比化させたことで、船の雄大さをより強調させたのは良かった。
 シャープネスで無駄の無い画像が尖鋭的な船のフォルムを表現し、アルミ車体の宅配車と共に生きている。
 


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 「 天高く 」

 

堀田 陽子さん(滑川市)

 路傍の小花を横目に颯爽と駆け抜けて行くバルクトレーラー。大型車の流動感に力強さを感じる一方で、オレンジの花々が優しさを提供してくれた。
 女性作家ならではの視点ではあるものの、低姿勢で天を仰いだフレーミングに大胆さも伺え、障害物の写り込みもなくトラックを強調することができた。
 フィルムほどではないものの、自動露出でも反射率が高いと露出が引っ張られるので、何処に露出を合わせるかを注意したい。
 散歩中に見つけた私だけのロケーションといった感じで好感が持てる作品である。


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   「働く車」

 


       「 自慢のボディ 」
   

 上江 哲男さん(高岡市)

加藤 仁一さん(富山市) 

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