「 釣り人と夕陽 」   水島  穣さん(富山市)

 

 


 暮れなずむ埠頭に一台のダンプトラックが黄昏ている。岸壁で釣りをする2人の太公望の姿。釣り場を後にする一人、未だ粘ってみようと糸を垂らす釣り人、沈んでいく夕陽に照らされた海面と岸壁がゆっくりとした時間経過を的確にとらえた作品である。画面上部に有刺鉄線をさりげなく入れて奥行を表現し、一般の立入制限がある環境が良く判るし、その光景を見据える作者のメッセージ性が十分伝わって来るもの。夕焼けに染められた作画に、シルエットになったトラックの何処となくセンチメンタルな光景が、擬人化した作者のイメージに合致したことが良い結果を招いた。
 トラックの立場では、今日も疲れたなぁ〜明日も頑張ろう!、という希望が伝わって来る。一瞬雲に遮られたのか、変形した太陽も面白い。やもすれば単調になり易い簡素化されたロケーションではあるが、現場の状況と関わる要素を上手く構成、処理し、自分の作品にしている。

 水島さんは、応募された作品の全てがストーリー性を醸し出していて、色調表現も統一性を持ったものであった。仕上げも質が高く、作者の綿密な撮影姿勢が作品に充分反映され、審査委員の心を呼び起こし他の作品を寄せ付けないインパクトある同氏の作品に一同が魅了された結果となった。欲を言えば、画題の付け方を一捻りすると見る方に考えるひと時を与え、一層のインパクトを創出することであろう。  

 

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 「 ピアノ引越し 」

 

 

江尻 和久さん(富山市) 

 路地狭い住宅街の引越し風景の現場に作者は何を想ったのか?住み慣れた街を後に、また新たな生活を提供する架け橋としてトラックの役割がここにある。日曜雑貨や家財道具が載せられて行き、防護材に包まれたピアノが担ぎ込まれた。特殊輸送と言うべきピアノ輸送の慎重性が顔が見えない2名のクルーの作業から垣間見えて来る。
 ピアノ輸送では起重機で上げることは良くあることだが、襷で担がれて行く手積み作業は限られた現場の状況も認識できる。青い色調の簡素化された画面の中には、重量物を運んでいるにも関わらず、その重さが感じられない不思議な空間である。それは、現場に立ち会った江尻さんの心の寂しさが写真に出でいるということ。当たり前のように聞き慣れたピアノの音が、この日を栄に消えてしまう寂しさ。生活のリズムを奏でていたピアノが引越しされることがその家族との付き合いの象徴であったような感じがする。さりげなく画面手前の電柱の影や軒、垣根が住宅街の相貌を写し出している。少し自分の影も写り込んでいるが、思い切って身体も入れてしまえば、現実感が増して良かったのではと思う。


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 「虹を抜ける 」

 

若林  繁さん(富山市)

 夕立の後であろうか重苦しい雨雲を背景に、一瞬日差しが差し込んで虹が出た。ローリー車の顔や濡れたアスファルトに乱反射して、見事なコントラストを表現し、正にトラックが虹のアーチを走り抜けて行くようだ。凝らして見るとダブルレインボーで、虹の出ている時間はそう長くはないものの、俊敏性且つ安定した画面を構成する同氏の能力は、決して偶然ではないものがある。現場の咄嗟の判断や状況認識は、昨日今日のものではなく、どのようにフレーミングすれば自分のイメージに近づけて行けるかを熟知していると思う。
 現に若林さんは一回目のコンテストから毎年応募し、過去に6度の上位入賞を得ているベテラン作家である。広めのレンズで低姿勢でとらえたことで、車両を一層強調させ虹とのバランスも抜群である。チャンスは追い求めるものではなく、日頃の撮影活動のプロセスが招いた贈り物と考えたい。その様な誠実に写真に対する心構えや行動が今回の力作に反映した証と言えよう。


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 「 愛用楽器の運搬 」

 

 

河上 二朗さん(富山市)

 埠頭に横付けされたトラックに、ドラムセットが積み込まれている。背景にテントが写り込んでいることから、港でのイベントであることが伺える。シンボライズされたトラックの先鋭的なフォルムとは裏腹に、セーラー服の学生という似付かないコラボレーションから不思議な空間を醸し出していた。しかし、暫く見ているとその様な異空間さが、逆に親しみを感じて来て興味深い作品に見えて来るのが河上さんの手腕なのかも知れない。
 無地のアルミバン、清々しい学生たちの相貌、先輩が指示する光景から生徒の位置関係が汲み取れて、愛用楽器に対する心遣いと現場の緊張感が十分伝わって来る。洗練された作画も好感が持てるし、何より同氏の優しい眼差しが感じられる作品である。


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 「 災地への願い 」

 

 

杉山 邦雄さん(高岡市)

 

 ステージと化した大型トラックを背景に祭りを象徴させる和太鼓をダイナミックに表現し、夏の風物詩である祭りのひとコマをとらえたものである。背景の演者と、左前面に配した和太鼓を対角に、奥行きと祭りの雰囲気をストレートに表現した。さりげない七夕飾りの短冊が明らかに今年は違う光景に、作者の想いも同じである認識を得たように感じた。
 祭りの風景は毎回、多くの作品が寄せられるものの、その裏舞台を垣間見る作品は少ない。杉山さんの願い、みんなの願いがこの祭りに集約されている作品である。欲を言えば画題の付け方も、映像に文字表現されているので、「願い」とか「被災地へ」など、過度の説明にならない、見る側に考えさせる余裕を持たせた付け方も考えて欲しい。

 


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 「 水の豊かな富山 」

 

 

梶原  隆さん(富山市)

 宅配車が水のカーテン越に見え隠れする光景を、富山のイメージを重ねてとらえた作品である。それを象徴する市街地の水風景は、街のオアシスとして市民に親しまれて、安らぎを創出し、水との共生を感じる空間を演出している。水の流れに背景のトラックがゆらゆらと見え隠れして、時の経過とともに形を変えて行く様が幻想的で面白い。
 シャッター速度の変換で流水のイメージが全く異なるので、変えてみるのもいい。一方、どうしても欲張って全体像を写しがちだが、もう少し狙いを絞ったフレーミングも考えて欲しかった。


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 「 練習がんばれ! 」

 

水野 敬雄さん(立山町)

  青々とした清流と森林に真っ赤な橋りょうのコントラストが素晴らしい。その画面に吸い込まれそうに魅了していると、アメンボの如く水面を移動していくカヌーの練習と随伴船が川面を切って行った。ロケーションは申し分のない場所で、如何に様々な要素が融合するかが鍵で、橋を駆け抜けて行く大型トラックの光景を作者は見事に構成した素晴らしい作品である。この様な、タイミングの良い画が撮れるのも、とっておきの場所である作者の愛着と根気の証であると言える。瞬間をとらえる写真の即効性、時の流れを待つという双方のメリハリは撮影にとって重要であるが、今回は作者の粘り勝ちと言えよう。
 欲を言えば、スタンスの制約はあるものの、橋が重なり合っているのが実に残念でならない。より高い位置から撮れる場所も探索して欲しい。


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 「 春を待つ 」

 

 

平野  稔さん(富山市)

 合掌集落に積もった雪壁が、積雪量の多かった冬を物語っていた。茅葺屋根の雪も消えつつ、雪融けした道路に早春の気配を感じる作品である。この様な光景に、作者の想いが現れていて、顔を出した宅配車が閉ざされた空間から目覚めようとする経過を上手くとらえている。
 車両と家屋、雪景色とのバランス良く、聳える雪壁の強調さと相俟って、厳しい環境下における輸送の原点と力強さが感じられた作品である。運転者の存在から移動しているトラックを待ち構え、作品にした作者の努力が認められた。


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 「 黄金色の中を 」

 

今藤 正昭さん(高岡市)

 

 一面の麦畑を2台のダンプトラックが駆け抜けて行く。トラック本来の力強いイメージが、カーペット化した麦畑のオブラートに包まれて可愛く見えて面白い。住宅地を背景に、畑の広大さも十分解り、車両も同じ現場に向かうことも理解できる。
 ここまで、広く撮っているにも関わらず、全く人が写り込んでいないのも不思議だ。異空間に入り込んでしまった様な滑稽さから、車両がミニチュアに見えてきて一層、興味深い作品となっている。
 


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 「 被災地に向けて出発! 」

 

松永 正昭さん(富山市)

 東日本大震災は、忘れることのできない出来事となってしまった。みどりナンバートラックは、関係機関との緊急物資輸送協定を結んでいるため、いざという時に迅速な輸送体制が確保されている。しかし、今回はそれを起因させる作品が得られておらず、指定輸送日の認識から撮り難い状況にあったか、作者らが敢えて控えたのかは定かではない。唯一、松永さんの写真が、その想いを象徴させるものであった。 金赤の大型トラックのウイングボディーにマーキングされた願いは、誰もが想う皆の願いでもあった。澄み切った青空の下で、出発するトラックとのコントラストも絶妙で同氏の誠実さが画面に表れている。同様に、自らの車両が絶好のメッセージボードとして全社挙げての取り組みに好感が持てた。


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   「開通を夢見て」

 


    「 水兵さんにお届け物 」
   

 斎藤 優介さん(富山市)

小川 圭二さん(富山市) 

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