廃品回収の日

 

 

若林  繁さん(富山市)
 
 真夏の澄み切った青空の下、大型ウイング・トラックが羽を広げて古紙を回収している。その規模は大型トラック2台を見れば一目瞭然だが、私はこのような大規模な回収は未だ見たことがない。地域のボランティアなのか、町内会の住民なのか?それにしても、人海戦術で古紙が次々と積載されていく様は気持ちがいい。よく見ると、古紙を運び込む人々の表情に笑顔が伺え、楽しんでいるように見える。この回収が地域の定期的なイベントの一つになっているかのようで、地域住民の団結、そしてトラック事業者の協力、もうひとつの環境にリンクしたトラック輸送の関わりが明確化した文句ない作品である。羽上げたトラックのフォルムから画面全体を力強いものにしている一方で、車両全体を見せたいがために人々の躍動感が負けてしまっているが、ここでは仕方がないだろう。若林さんは毎年チャレンジされて上位入賞を果たしているベテラン作家だが、惜しい所で最優秀賞を逃している。今回は、リサイクルという社会に則したテーマの下でトラックの位置付けを表現した同氏の狙いは間違いではなかった。


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 「譲り合って」

 

 

盛崎トシ子さん(高岡市) 

 町内を練り歩く獅子舞が、ダンプトラックに道を譲っている情景が面白い。しかし、譲った獅子舞とは裏腹に、普段力強いダンプトラックが申し訳なさそうに脇を通っていく様の方が面白いのだ。今日ばかりは異空間に飛び込んでしまったダンプトラックは、祭り風習の不思議なパワーに圧倒されてしまった訳である。左画面に写り込んだ子供たち、中心の若者、祭りの役人、誰としてトラックに向いていないのが何とも不思議だ。盛崎さんは以前にも瓦拭きの情景を捕らえた作品で入賞しているが、身近な所でテーマを見つけることが上手な方で好感が持てる。今回も地域に根差した風習とトラックのリンクで、自宅から至近距離のロケーションであった。

 

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 「オーライ、オーライ」

 

川友 貴暢さん(富山市)

 マンションの引越し風景であるが、より身近な分野でトラックが関わっているのもこの引越し輸送である。しかし、ピアノ輸送というものはノウハウがあって言わば特殊輸送ということになる。2人のクルーが宙を舞うピアノを支えていて、マジックの如く一見すると運んでいるように見える。果たして2人で大きなピアノが運べるものなのか、考えて見ていると吊られていて、まんまと写真のマジックにかかってしまった次第。3階建てのマンションからクレーンで吊られたピアノを降ろす一部始終を作者は冷静に捕らえたもので、安定したフレーミングが輸送の正確性と住み慣れた場所から新居へ繋ぐ懸け橋になっている情景が手に取るように解る。

 

 

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 「桜の咲く頃」

 

 

酒井 邦雄さん(上市町)

咲き誇る八尾の千本桜を背景に神通川の採石風景を捕らえたもので、ダンプトラックの力強さとは裏腹に、桜の優しさがリンクすると何とも不思議な情景が生まれて来た。その異質なコントラストが織り成す空間描写がこの写真の魅力を引き出していて、遠景からのショットがダンプやショベルそして桜並木をジオラマに居るような空間に感じてしまう。ポジからのプリントの重量感も一層、桜のコントラストを引き立てているが、多少長めのレンズで狙っているのかピントが少々甘く、解消すればもっと空気感が伝わったと思う。


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 「24時間、幸せも運ぶ」

 

 

増川 邦生さん(小矢部市)

 宅配便を題材した作品は毎回ウエイトが高い。それだけ、一般消費者に密着した輸送で撮影チャンスもあることの証しであるが、反面なかなか納得行く写真が少ないのも宅配便の写真だ。日も暮れて届いた荷物を不思議そうに見つめる兄妹の姿、子供の背を押す母の優しさ、女性ドライバーの笑顔もいい。上手く3拍子揃った作画はなかなか撮れるものではなく、作者の冷静な眼が良い結果を生み出した。子供達の表情は認識できないが、判らないから見る側に想像できる余裕を残してくれたのも良かった。

 

 

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 「僕は力もち」

 

 

此川 勝海さん(黒部市)

 此川さんも毎回力作を寄せてくれる作者で、常に前向きな撮影姿勢が現れていて好感が持てる。敷設された道路に、側溝のコンクリートパネルを荷降ろしする情景を捕らえたものである。ユニック車でドライバー自らが荷降ろしすることは多いが、この現場も写真で見る限りそのようだ。規則的に並ぶコンクリートパネルの立体感と柔らかい秋の陽射しが心地好いコントラストを奏でていて、オペレーターの静かな動作が荷降ろしの慎重さを感じる。互い違いに降ろしていくことで、荷役の仕方も再認識することもでき、プロの捌きが伺えるものである。

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 「高 速 輸 送」

 

大橋 欣次さん(新湊市)

 雪化粧した立山連邦を背景に、北陸道を行く大型トラックを捕らえたものだが、高速道を狙った写真はこれまでも多くの写真が寄せられている。とりわけ輸送のスピード感を表現したものが多いものの、的確な作品はそう多くはない。陸橋の上から俯瞰で捕らえることは、防護柵の制約から難しいものがある。脚にカメラを設置してノーファインダーで撮るか、脚立に上るとかそれなりの工夫がないと撮れないだろう。高速運転ではあるが、安定したフレーミングから輸送の安全走行が感じられ、ひょつこり顔を出した後続車もユニークだ。ピントが曖昧な点が残念だが、長めのレンズで狙うと奥行きが詰まり深度も狭くなる上に、手振れを起こしやすくなるのでご注意を。

 

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 「彩々の街宅配」

 

 

石黒 外志さん(上市町)

 夏祭りだろうか、デコレーションに彩られた高岡市街を宅配トラックが行く。長いレンズでポイントを絞り込んだことが、トラックをより強調し中心市街の風情を醸し出す結果となった。どうしても飾りが煩くなりがちだが、少し暗めのプリントが功を奏し白い車両とのコントラストを引き立たせる良い結果となった。中心街なのに誰一人と通行人が写っていないのが、何とも不思議。

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 「夢きっと叶うよ!夏の思い出」

 

飯田 明子さん(砺波市)

飯田さんは最優秀受賞者で、確か受賞作品に写っていた息子さんで、トラックを前に道を塞いでいた写真であった。彼女自身に独自の物語を秘めていて、それを写真で表現するのが上手い方だ。収穫を待つ田園に大型トラックが駐車され、傍らには少年が稲に埋もれながらも虫を追っている。忘れかけていた正しい日本の原風景の中で、子供自分をオーバーラップさせてみると、納得してしまう写真だ。彼の夢はトラックの運転者になることなのか、跳ね上げたワイパーと陽射しが、暑かった今年の残暑を表現していて、見る側に想像を与える余裕ある写真だ。欲を言えば、出力が不十分なので本来の質感が発揮されていないので、データを写真店で印画紙にプリントされるといい。

 

 

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 「今昔の面影」

 

橘  隆司さん(氷見市)

  大型のバルクトレーラ車が松並木の街道を行く。道路が舗装され主要道路になって、松の成長とともに永い歳月を感じずにはいられない。松の陰から顔を出した車両の重量感と木の壮大さが相俟って、残された情景を今にとどめていた。橘さんは良く大型トラックをテーマに作品を寄せてくれ、昨年は惜しくも入選は逃したものの、フレーミングもダイナミック且つ定感ある作画の持ち主である。

 

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