豪雪の後、活躍中

 

 

豪雪の後、活躍中

河上一郎さん(富山市)

 今年は、例年になく降雪の多い年であったと聞く。毎年寄せられる作品にも雪をテーマにした作品が多い。雪国に住む人々にとって当たり前のものだが、小生のように外から見ている者にとっては、いつも興味深く拝見している。

 美しい雪景色とは裏腹に、度が過ぎると生活環境を脅かす雪でも、こうした最終地点に到達した雪も別の意味で美しく見えてしまう。カラー写真でありながら、色を払拭したモノトーンの色調からは一切余計なことは言わない洗練された空気がストレートに伝わって来る。荷台を滑り降りる排雪の流動感、降雪量の多かった今年の冬を物語る作品であった。

 表舞台のトラックの姿も良いが、同氏の作品は運ぶという輸送の原点を真正面から捕らえて審査委員の心を掴んだ結果となった。決して華やかな輸送分野ではないが、雪国にとってこの輸送がなくてならないモードであるという同氏のメッセージも十分伝わった。

 河上さんは撮影スタンスが確立され、写真に対する自らの思いが明確化されていると思う。それは決して借り物ではなく、普段からコツコツと撮影を続ける河上さんの写真づくりとその軌跡が作品から垣間見えて来る。撮影現場に立った時、いかなるテーマでも冷静に対処できる持ち主なのかも知れない。

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 「イベントの日」

 

 

イベントの日

若林 繁さん(富山市) 

 トラックを舞台にバイクのデモンストレーションを行なうイベント会場。ウイングを跳ね上げ舞台にする光景はよくあることだが、見れば富山県をPRするフィルムがボディにプリントされている。全国を駆け巡ることで、トラックが視覚効果の非常に高い「走る広告塔」として絶好の媒体であることが認識される。自社や荷主のPRをすることは多いものの、ふるさとをPRするのはまだ少ないように感じる。富山の事業者であるという認識と誇り、ふるさとの素晴らしい自然環境が何よりの財産として捕らえ、もっと多くの人々に伝えたいという作者の意図とトラック事業者の思いを引き出した作品である。

 前輪を上げて並ぶ2台のバイクもタイミング良く捕らえ、プロドライバーの正確且つ安全性がトラック輸送にも共通する認識であることを伺わせたものだ。作品そのものは、トラックのラッピングが余りにも強いので、競技者が負けてしまう難しい作画ではあるものの、本来の輸送とはまた違う別の活躍の場に視点を置いた力作である。 

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 「休日の漁港」

 

新井豊一さん(氷見市)

 穏やかな早春の陽を浴びて立山連峰を背景に漁港に並ぶトラックたち。黄金色に輝いた仕掛け網とアルミボディーのコントラストが絶妙にマッチしている。新井さんは過去にも最優秀賞を受賞したベテラン作家であるが、いつも情景描写の上手い方だと関心する。

 コンテスト作品を見ると、タイトルと作画が相反することがよくあるが、同氏の場合どれもが的確に伝えて、誰もがうなづいてしまうほどだ。手前に配置された規則正しい網目模様が画面に十分反映して、わが国の物流ネットワークを象徴させるものを感じていられない。網目の質感やシャドウ部のディテール表現はポジフィルムならではのもので、休日の漁港の情景と季節感が表現された作品である。 

休日の漁港
 

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 「うわーっ 見晴らしいいねぇ」

 

 
うわっー見晴らしいいねぇ

宮島優美子さん(富山市)

 業界のみならず個々の事業者の中でも機会あるごとにトラックに親しんでもらう場を提供している。大型車の助手席に乗り込んだ兄弟の一声は、このタイトルからも伺える。宮島さんは一昨年、最優秀賞受賞者であり、以降コンスタントに力作を寄せてくれる。その多くが息子さんとトラックを絡めたテーマがメインになっていて、審査する方はトラックよりも子供の成長の早さに感心してしまう。顔を出した2人の表情は、トラックへの親しみと将来展望を見据えたものを感じてしまう。写真は、そんな記録性からその時代にタイムスリップできる力があり写真を見比べた時、普段見えなかった成長のギャップが母親として何よりの楽しみなのかも知れない。

 女性作家の作品は毎年増えている中で、本来の優しさとかキメ細かさとかは写真撮影や作品づくりにも忘れてはならない。それに輪をかけて、母親の視点が加わると不思議なパワーを発揮する。機会あるごとにトラックに触れ合える場をテーマづくりに反映させて質の高い作品づくりに励んで欲しい。

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 「立山を仰いで」

 

 

石黒外志さん(上市町)

 澄み切った青空の下、うっすら雪化粧をした立山はもう冬の到来を告げていた。過酷な現場で5名のクルーによる慎重な荷役作業が行なわれている。峰に突き出したクレーンアームが奥行きと臨場感を醸し出して、切り詰めた緊張感も十分に伺える。

 単調な動きに見えても、こうした大ロットの荷役は何よりクルーのコンビネーションが欠かせないし、万一の時には大きな事故に成り兼ねない。そのような現場の流れを冷静且つ的確に捉え、トラック輸送と荷役作業とのリンクを表現した。

 広いレンズで撮るのも危険で作業の邪魔になるし、立山を強調させるには逆効果だ。様々な覚悟で現場を見て撮影スタンスを決めたのは正解だった。

 

立山を仰いで 

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 「縁の下の力持ち」

 

 

縁の下の力持ち
増川邦生さん(小矢部市)

 歩行者天国と化した桜並木の道路では、流動感あふれる祭りがクライマックスに達している。仮装されたトラックがその舞いをアピールする脇役となって盛り上げている。

 作画では見所が多く桜と衣装とのコントラストも良い。桜も踊り手もトラックもと画面に欲張ると視点が定まらなくなるので、もう少し絞り込んで欲しかった。被写体は逃げないのだからローアングルや様々な角度でカメラスタンスを変えて見ることで作画の広がりを出して欲しいと思う。

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 「水面に写る作業風景」

 

藤井伸一さん(富山市)

 公園の改修工事で活躍するダンプトラックが水鏡となってゆらゆら揺れている。穏やかな波紋が、様々な形にデフォルメさせて行く情景を作者は暫く見ていたのであろう。協会からも近い環水公園で捕らえた写真だが、過酷な現場に入って土砂を運搬するダンプトラックの力強さをタイヤについた土が物語っている。

 現実と水鏡の2つの画面が楽しめて、昔テレビの受信状態が悪く、画面が水鏡のようになったことを久し振りに思い出した。写真のテーマというものは、身近な所に存在しているのでカメラ散歩をすることをお薦めする。

 

水面に移る作業風景

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 「白鳥の住む街」

 

 

白鳥の住む街
酒井邦雄さん(上市町)

 立山連峰を背景に白鳥の飛来地をトラックがゆっくりと走る。飛来した白鳥の群れとトラック、そして峰々が規則正しく配置され、トラックの配置も丁度切れたガードレールの合間に配置するなど計算高さが伺える。併せて鷲だろうか旋回する情景までも作画を構成する要素は盛り沢山だ。

 どうしてもフレーミングが平面になりがちで、すべてを見せてしまうとそれ以上の部分が見えなくなりそこで終わってしまうことに成り兼ねない。白鳥群も押さえたいのは分かるが、現場に立ち目で見て、ファインダーで的を絞り込み、切り捨てるという勇気も持ちたいものだ。

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 「こんにちは」

 

堀真由美さん(富山市)

 キャブを倒したトラックの姿は確かにお辞儀をしているように見える。細かいディテールが再現され、車両の質感が見事に写し出されている。何より、新車かも知れないが車両が良く手入れされ、写真からこの事業者の輸送の信頼性が感じられる。一方で、トラックと子供が挨拶を交わす滑稽さがテーマである。

 しかし、挨拶はしたものの両親や小学校では先生の言う事を聞いているか、勉強は頑張っているかとか、逆に叱られてしまったように見えて仕方がない。背景に入庫したもう一台のトラックも何処となく心配そうではないか。写真の中でトラックと児童の対話が一つのストーリーを作り出していた作品である。

 

 こんにちは

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 「立山に見送られて」

 

立山に見送られて 魚谷一幸さん(富山市)

 素晴らしく晴れわたった絶好の写真日和。立山室堂でのロケーションは、降り積もった雪に新雪が重なりクリームのような特有の質感と冷気が画面から溢れている。退避させたユニック車は足場であろうか積荷を積載して現場へ向かう。運転席に人が乗っていない所を見ると、作者自身がドライバーなのか。

 天候に恵まれ、露出の設定が難しいハイコントラストの風景の中に黄色い車両が見事に写し出されている。撮影現場を十分熟知していることが強みであり、良い結果に繋がった。

 

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