「 イベントの裏方 」

 

 

イベントの裏方

若林 繁さん(富山市)

 市街の西町で行なわれたイベントで、トレーラーシャーシの上には浴衣を纏ったモデルたち。澄み切った空、マンションを備えたインテリジェントビルが聳え、商店街に垂直に鎮座した舞台は普段、鉄鋼等の重量物をメインカーゴに活躍するトラックである。

 今日ばかりはモデルを載せて裏方に徹している相貌ではあるが、立派なメインステージと化している。通常、有り得ないものが載っているギャップ、その異空間さがこの作品の最大の面白さであろう。モデルを撮る観客、道路を閉鎖してまで盛り上げるイベントの凄さ、何処と無く嘘っぽいところが、見れば見るほど構成する要素が多い。モデルを背がまちまちでメーカーの社員か、市民モデルか決してプロでは無いところに親近感が湧いて来る。

 これからこの街を富山の顔にしようという願い、その将来展望を備えた感じも伝わって来る。同イベントを捕らえた写真は他にもあったものの、若林さんは、様々なポイントを上手く処理して自分のものにしている。

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 「 只今仕事中 」

 

 

只今仕事中

藤井伸一さん(富山市) 

 藤井さんは過去にも入選された方と記憶する。何より、水辺のロケーションに拘っている方で、今回も水鏡を駆使した作画構成を得意とする方だ。富山大橋を背景に河川の現場に土砂を降ろすダンプトラックの姿がある。水辺を凝らして見ると、鷺であろうか鳥たちが群れを成している。幾度となく運んできたトラックにも動じない鳥、人間はドライバー一人で、ダンプが何処と無く申し訳なさそうに荷役をしているように感じ、普段のダンプの力強さが自然環境の中に共生し優しさに変わっているのが面白い。

 ちょっと傾いた陽が経時変化を物語り、作品全体がノスタルジックに表現することもできた。また、機会を見てどのように変わっているのか、同じ場所を狙って見るのも写真の記録性とともに大切だと思う。

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 「 古今の流通 」

 

中川 恕さん(富山市)

 富山駅前のシンボライズされた売薬さんとトラックを融合させた、かつてない作風に審査委員は少し躊躇したが、見れば見るほど奥深い写真であった。多重露光を思われる写真だが、根底にあるものは改めて物流を原点に立ち返らせるパワーを持った写真である。多重露光に注意することは、何と言っても露光のかけ方が難しい。

 中川さんは、これまでもテクニックを重視したひと味違った作風を寄せてくれる作者だが、長年の経験が反映し、同氏独特の写真を創り出している。しかし、写真の可能性を追及することは、大切なものだが、余りにもテクニックに走り過ぎると、本来の実写から遠ざかってしますのが怖い。今回の写真は、コンセプトも解るし、作者の年齢層を加味しても頷ける要素は十分だ。運ぶという行為は何よりお客様あってのもので、時には痒い所に手が届かなくてはならない。かつての売薬さんもそうであったように、輸送の原点を顧みる作品である。

古今の流通
 

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 「 県産米初出荷 」

 

 
県産米初出荷

河上二朗さん(富山市)

 河上さんは前回、最優秀賞を受賞した作者であるが、前回のダイナミックさとは裏腹に規則正しい車両のフォルム、これから全国に運ばれようとするスタートラインに立ち見守る優しいまなざしが伝わって来る写真である。

 こうした情景を撮ることができるのは、やはり事前の情報が得られなければ立ち会うことはできないだろう。その報道的要素もさることながら丹精込めて作られた誇りの新米を営業用トラックが確実に届ける、という信頼感が得られた作品であった。

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 「 ホリデー 」

 

 

酒井邦雄さん(上市町)

 整備中の公園で子供達が芝生でソリ遊びをしている相貌が何とも面白い。一部開放されたエリアで子供達の楽しみはその笑顔から察する。

 子供の遊びがコンピューター化している昨今、一昔前の時代にトリップしたような錯覚と安心感が垣間見れるのは、少しピントの甘さから来るものだろうか。背景には工事現場で黙々と作業をするショベルとダンプトラックが写り込んでその使命も分かる。子供達の聖域を仕切るように貫く階段が画面にメリハリを持たせることができた。

 

 

ホリデー

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 「 バトンタッチ 」

 

 

増川邦生さん(小矢部市)

 井波は彫刻や木材加工の名産地で、クレーンで吊り上げられたオブジェも木工であるようにも見える。その街のシンボルが据付られる経過を捕らえたもので、凝らして見るとメインのクレーンとトラック側のアームとが連携して吊り上げられているのが分かる。

 静観な顔付きと、ゆっくりした時の経過を感じ、輸送作業の慎重さと正確さが十分感じられた。ものであった。

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 「 慎重にスライスライ 」

 

此川勝海さん(黒部市)

 大きなガントリークレーンに吊り上げられたのは遊園地のおとぎ列車ではなく、この車両は立派な鉄道車両である。通常、鉄道車両の輸送はJRとの渡線が繋がっていれば、製造工場から臨時として機関車で牽引して自線に入線する、いわゆる甲種輸送というものである。しかし、渡線がなかったりましてや異なるゲージの路線であれば、トラックによる陸送に頼らざるを得ない。この車両は黒部峡谷鉄道のトロッコ車両で、大型平ボディーに丁度積載できる車長なのだ。

 厳しい輸送環境でクレーンオペレーターと作業クルーの息が合わせて誘導する姿。何時でも撮れるというものではない貴重な光景であり、作者の確かな情報源が強みとなった。

 

慎重にスライスライ

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 「 飛州晴天 」

 

 

飛州晴天
下野元志さん(富山市)

 澄み切った秋晴れの下、大型トラックのラインナップをシンボリックに構成したダイナミックな写真である。銀塩フィルム特有のコントラストもいいし、輸送の力強さを感じる力作である。

 ポスターに採用してもいいほど、完成度も高く作者の綿密な画面構成が成功の証しである。作者自身、ポジフィルムの特性を熟知していてラチチュードを十分に行かしている点に好感が持てる。

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 「 バラ色の朝を行く 」

 

森下哲夫さん(小矢部市)

 朝焼けの彼方にトラックが颯爽と駆け抜けて行く風景が何ともドラマチックである。厳しい露出の環境で低速シャッターで押さえた映像は、街路灯と車両の流れも相俟って早朝の雰囲気を上手く醸し出すことができた。

 早起きは三文の徳と言うが、カメラ片手に早朝散歩もいいもので、日中では気が付かない光景や発見があるものだ。

 

 バラ色の朝を行く

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 「 イベントを運ぶ 」

 


イベントを運ぶ
石黒外志さん(上市町)

 市内のイベント会場で、先導するデコレートされたトラックがやけにインパクトを与えている。よくアルミウイング車が舞台として利用される光景は良くあるが、ここまでトラックを仮装するのも凄過ぎて、後を続く踊り手は飛んだり跳ねたりパフォーマンスをするものの、トラックのそれに飲まれてしまっている。

 イベントでは縁の下の力持ち的なトラックの位置付けがここでは画題の通りイベントを運ぶメインになっているのが面白い。

 

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